生産者STORY

 
マルマンSTORY
 
伝統の味とバイオテクノロジーの調和。老舗みそメーカーのこだわり。
マルマン株式会社 代表取締役 中田教一さんに聞く
業界ではじめて「無添加生みそ」を開発、普及の立役者となったマルマンは、1994年、天外天株式会社などとともに、内蒙古万佳(わんじゃ)食品有限公司を立ち上げ、有機無農薬味噌の実現を主導しました。
長い伝統と進取の気性。近代的な工場で生産される伝統の味。それが、マルマン製品です。
 
どこかで聞いたことがあるような…
 
どこかで聞いたことがあるような…
マルマン株式会社(長野県飯田市)の「有機減塩みそ」は、化学汚染のまったくない、内モンゴルの有機農場で栽培された大豆、米などの原材料を、有機認定を受けた内モンゴルの工場で一次発酵。それを日本に運び…
どこかで聞いたようなフレーズですね。
そうです。木曽路物産「天外天」の味噌工場、万佳食品公司で一次発酵までをやっているのです。さらに、マルマンの有機認定を受けた日本の工場で二次発酵、パッケージングしています。
実は、マルマンは、木曽路物産の鹿野社長たちが万佳食品公司を内モンゴルで立ち上げたとき以来の出資者でもあり、また、技術指導をしている会社でもあるのです。

内モンゴル・ウランホト市に向かう街道の左右には広大な農地が広がり、あちらこちらに「緑色食品生産地」と書かれた看板が立っています。これは、日本語では「有機栽培」のこと。Germer Roadの「有機減塩みそ」の原材料の大豆、米を栽培する農場はその一角にあります。
内モンゴルは、冬期は零下30度にもなるため、害虫が越冬できず、もともと農薬の必要がない土地なのです。そこで、さらに農薬を一切使わず栽培しています。冒頭に、「化学汚染のまったくない」といったのは、そういう意味なのです。
マルマンのみそを語るうえで欠かせない、無添加・生・減塩について、簡単にご説明しましょう。
無添加とは、普通、保存料、防腐剤等を入れないことですが、とくにみそでは、アルコールを添加しないことを指します。アルコールは、通常パッケージング後の発酵を抑えるために添加されますが、マルマンが開発した特殊パッケージは、発酵しても炭酸ガスが抜ける工夫がされています。そのため、マルマンのみそには、アルコールを添加する必要がありません。
生とは、加熱処理をしないこと。そのため、みその酵母が生きています。
つまり、生みそは、新鮮な発酵食品なのです。また、みそ酵母の発酵による炭酸ガスが、表面の酸化を防ぎ、みその新鮮さを保ちます。
そして、減塩。マルマンのみそには、もともと体にいい天然塩しか使っていませんが、その塩分も、100グラムあたり9.0%。一般のみそに比べ、25パーセント程度(マルマン比)カットされています。

 
古い歴史と先端の生産、管理
 
古い歴史と先端の生産、管理

マルマンは、創業明治21年。
3代目の中田栄造が即醸法を開発、特許を得ますが(昭和19年)、当時の食糧事情にかんがみ、公開しました。これは、それまで温度調整をしなかった醸造倉の温度を人工的に調節し、発酵を早めるというものです。食糧事情が主な理由でしたが、その結果、味噌の工場生産を可能にしました。
栄造の長男、現社長の中田教一氏がマルマン社長に就任してからは、矢継ぎ早に経営刷新を図ってきました。全国味噌品評会で農林大臣賞を受賞(昭和46年)、熟成・出荷包装部門を近代化(昭和53年)、業界に先駆け「無添加生みそ」を開発、特許、および実用新案を公開、普及に努めるなどは教一社長の代のできごとです。
「無添加生みそ」はマルマンの開発だったのです。
同社は品質管理、生産管理にも厳しく、平成11年にはISO9001、翌12年には農林水産省規格の有機JAS認証を取得、平成14年にはISO9001の認証を取得します。そして、平成22年、ISO22000を取得します。
原料調達から出荷まで、万全の体勢でお客さまのもとにお届けするのが、マルマン株式会社の「有機減塩みそ」なのです。


 
みその使い方が間違っている!
 
みその使い方が間違っている!
マルマン長野営業部の大倉章文さんは言います。「みなさん、おみその使い方を間違えてますね。あれでは、みその味がわからなくなってしまいます」
「私たち味噌メーカーのアピールも足りないのでしょうけど」と言う大倉さんのお勧めは、まず、いま冷蔵庫にあるみそで、みそ汁をつくってみること。
「いまは、顆粒のだしを使いますよね。あれを使うときは、つくり方も変えないといけないんです」
まず、材料を水から煮ます。やわらかになったところで、だしを入れます。
「普通は、最初にだしを入れてしまうんですね、皆さん。だから、たいていのご家庭では、みそ汁ではなく、だし汁を飲んでいるんです」
材料からもだしがでます。それをまず味わってみて、足りない分だけだしを入れるようにします。
「みそは、火を止めてから溶くこと。このときも、材料から塩気が出ていますので、味を見ながら入れていきます」
みそを入れたら、「絶対に」沸騰させないこと。みその味がだめになってしまいます。
これだけで、昨日までとは一味違うみそ汁になるそうです。ぜひ、試してみてください。

 
いいみそを使ってほしい
 
いいみそを使ってほしい
マルマンの「有機減塩みそ」は、スーパーなどで売られている量産品に比べて多少お高いですが、「たとえば、みそ汁1杯あたりで計算してみてください。何十円も変わることはありません。それで、食卓が豊かになれば、リーズナブルだと考えられませんか」とマルマン長野営業部の大倉さん。
いいみそか、それなりのものかは、みそ汁にしたときに一番よくわかるといいます。
「だから、みそ汁の正しい作り方をお伝えしたかったんです」
大倉さんのお勧めは、具が何種類も入ったみそ汁。
「私が育った田舎では、何種類も具を入れ、しかも具の量も多いんです。それだけで、一品おかずが増えた感じになりますよ」
ただし、「ぜひ、いいおみそを使ってくださいね」と付け加えることを、大倉さんは忘れません。
いいみそと、それなりのものの違いを、大倉さんは、次のようなエピソードで教えてくれました。実際にマルマンのみそを使った人からのお手紙にあった話しです。
あるとき、買い物を頼まれたお父さんが、間違えて、マルマンのみそを買って帰りました。当然、怒られたといいますが、いざそれを使ってみると「いつもと全然味が違う」ということになり、お父さんは鼻高々だったということです。
そのマルマンのなかでも、高級品にランクされる「有機減塩みそ」。「具一杯のみそ汁」を、味わってみてください。

 
もっと、みそを使ってほしい
 
もっと、みそを使ってほしい
このところ、食の洋風化が進んで、みそ味のものがあまり食卓に並ばなくなってきています。
しかし、みそは万能調味料です。そこで、調理士でもある大倉さんに、酢みそを使った簡単な料理のレシピを教えてもらいました。
まず、基本となる「酢みそ」です。みそ40g・練りからし小さじ1・砂糖大さじ2・黒酢または酢大さじ2を混ぜればできあがりです。
やわらかく煮て水を切ったねぎを、適当な長さに切って酢みそと和えれば、簡単に「昔ながらのねぎぬた」ができます。
ちょっと豪華にしたければ、「イカとわけぎのぬた」「たこときゅうりのぬた」はいかがでしょう。
「イカとわけぎのぬた」は、イカとわけぎを別々に茹で(わけぎはシャキシャキ感が残るくらい軽めに)、冷水につけたあと水を切ります。お好みの大きさに切って酢みそと和えます。
「たこときゅうりのぬた」は、千切りしたきゅうりとゆでたこをお皿に盛りつけ、酢みそをかければOK。
おかずとして一品増やすもよし、晩酌用につくるもよし。みそを使った簡単な料理が、食卓を彩り豊かに変えてくれます。