生産者STORY

 
源STORY
 
健康を追求した『あなたの街の明太子屋さん』
株式会社源 代表取締役 藤ア尚志さんに聞く
口のなかでプチッとはじける独特の食感。奥深い風味とコク。安心&安全&おいしさを追求した株式会社源の辛子明太子は、健康志向派に勧めたい逸品だ。株式会社源は『あなたの街の明太子屋さん』。
 
辛子明太子の発祥地から
 
辛子明太子の発祥地から
口のなかでプチッとはじける独特の食感。和にも洋にも合うあの奥深い風味とコク。ふっくらとツヤのある『辛子明太子』は、見ているだけで何だか人を元気にしてくれる不思議な食べ物だ。発祥地は、福岡県福岡市博多区。
「戦争が終わり、韓国から博多に引き揚げてきた人たちによって広まったと言われています。もとはと言えば韓国の食べ物。それを日本人向きに食べやすいように工夫したんですね。1975年に新幹線が岡山から博多まで延び、博多の地名が全国区に広まると同時に、辛子明太子も一躍知られるようになりました。新幹線の開通が博多辛子明太子ブームのきっかけになったと言っても過言ではありません」(旅行ライター)
明太子の原料はスケトウダラの卵だが、韓国語でスケトウダラを「明太(ミュンテ)」と呼ぶ。明太の子なので明太子となった。ルーツは、韓国だったというわけである。だが、福岡市で独自の発展を遂げた明太子はいまや押しも押されもせぬご当地の一大産業に。
「福岡市には現在、大小とりまぜ、ざっと200社の辛子明太子の会社が味を競っています」と語るのは、株式会社源の藤ア尚志社長。コックや工場現場など異色の職業を経て、1993年に起業した個性派の経営者だ。社員10名、パート34名。決して大きな会社ではないが、その志は高い。消費者からの信頼度も揺るぎないものがある。
「基本的に当社の辛子明太子は添加物を極力抑え、おいしさと健康面への配慮を心がけています。深層海水塩をベースにしているのもその現れ。より良いものを求めた結果、インドネシア産の深層海水塩から国産の室戸産に変えました。コストはかかっています。でも健康志向こそ食の基本ですから」(藤ア社長)
日々、辛子明太子づくりに挑戦する株式会社源の工場に迫ってみる。

 
4時間でOKの独自開発解凍機
 
4時間でOKの独自開発解凍機
辛子明太子の工程は、原料解凍→漬け込み→熟成→液切り→選別→包装→金属チェック→凍結→出荷。それぞれのシーンで株式会社源ならではの工夫がある。まずは、原料の仕入先から。「魚卵の仕入先はアメリカ。海上で捕獲されたスケトウダラからすぐに卵が取り出され、サイズ分けされます。その後、船上で冷凍されたものが当社に届きます」と株式会社源の藤ア尚志社長。
辛子明太子の工程その第一段階は、冷凍状態で入荷した魚卵の解凍からスタートする。「冷凍状態の卵を解凍するには自然解凍や水での解凍などいろんな方法があります。生の魚卵は劣化するのが早い。それをどうやって防ぐかが大きな課題でした」(藤ア社長)。この問題を解決してくれたのが、2001年3月に導入した『独自開発解凍機』だったという。
「従来時間もかかっていた解凍がこの機械の導入により4時間に短縮されました。海水に近い液に浸し、完全に解凍。こうすることでいつでも劣化のない安定した原料を確保できるようになりました」(藤ア社長)
辛子明太子もタラコも親は同じスケトウダラ。塩漬けにしたものがタラコで、明太子は唐辛子などが入った調味液で味付けしたものだ。この調味料の配合こそ各企業の腕の見せどころといえるのかもしれない。通常は、塩、醤油、日本酒、本みりん、昆布、唐辛子などがベースになっているが、「当社はユズも加えています。何を使うかも大切ですが、要は配合の勝負。最近の傾向は塩分控えめですよね。シンプルで薄味。毎日食べても飽きないのが、街の明太子屋さんをうたう当社の品です」(藤ア社長)。通常の日本酒に代わって大吟醸や白ワインなどでアレンジするメーカーも出てきている。問題はコストパフォーマンス。手ごろな価格で美味なる品こそ、いま求められている。

 
漬け込みから熟成、液切りへ
 
漬け込みから熟成、液切りへ
味への追及はもちろん、施設内での衛生管理が徹底されているのも株式会社源のこだわりだ。工場に入るには使い捨て紙製ユニフォーム、キャップ、マスク、長靴の着用が義務づけられている。さらに粘着クリーナーを使ってのホコリ落とし、空気でちりなどを吹き飛ばすエアーシャワーの噴霧、手洗いまで衛生管理システムは万全である。
さて、解凍が終わったものは、いよいよ漬け込み作業に入る。「生選別されたあと、2LサイズからSまで規格別に一次漬け込みを行います。回転機により24時間浸透するわけなんですが、ここでは細心の注意を払わなければなりません。塩味、色、加水量などに十分注意しながら漬け込みます」(藤ア尚志社長)
一次加工されたタラコは、その後チルド庫内で水切りされる。そして調味液に漬け込んでの熟成へ。
「ルーム内の温度を0度から5度の間で安定させることができるのがチルド庫の特性なんですよ。このなかでは落下菌や浮遊菌などを極限まで抑えることが可能です。24時間しっかり当社自慢の調味液に漬け込み、均一な味を目指します。じっくりと時間をかけて熟成させることが奥深い旨みにつながるんだと思いますよ」(藤ア社長)
熟成が終わったものは専門用語でいう『液切り』が行われる。タラコの表面に付いている調味液を落としていく作業だ。はじめて『ふっくら』『プリッ』とした辛子明太子の登場となる。辺りにあの独特の芳香が漂うひとときだ。
ところで辛子明太子の数え方だが、ご存じだろうか。一腹(ひとはら)、二腹(ふたはら)と数える。細長い袋状のものが2本つながり、一対で一腹。購入する際に覚えておいたら役立つかもしれない。

 
熟練の職人が一腹ずつ目でチェック
 
熟練の職人が一腹ずつ目でチェック
独自で開発した画期的な解凍機や合理的なチルド庫、後述する誘電フリーザーなど最新の機械を導入している株式会社源も、人の目に頼る手作業のシーンがいくつかある。卵巣の成熟状態をチェックする場面もそのひとつだ。旨い明太子づくりに欠かせないのは、血線がなく、つややかで、ふっくらと丸みを帯びた『真子(まこ)』と呼ばれるもの。
「スケトウダラから取り出した卵巣のなかには、『ガム子』と呼ばれる皮が厚くて弾力性のないものや、ペースト状のもの、端が切れたいわゆる『切れ子』なども混じっています。これらを選別するのも大切な作業なんですよ。機械では細かいところまでチェックできませんので、すべて手作業になります」と株式会社源の藤ア尚志社長。
熟練したスタッフの目は、粗悪品の混入を許さない。2LからSまでサイズごとに選別された明太子はパッキングラインに乗り、1個ずつ包装されてゆく。このエリアは、衛生面を配慮して、水を使わない『ドライルーム』。ラインの途中で意外な装置を発見! なんと金属探知器である。

「鉄分やステンレスなどの侵入をここでがっちりと防いでいるわけです。ごく微量なものでも絶対に見逃しません。たちどころに反応します。口に入るものですから安心・安全は不可欠の要素でしょう。異物混入がなく、最適な品質かどうか。厳しい検査を通ったものだけがお客さまの手元に届くようになっているんですよ」
機械と手作業をうまく組み合わせて品質保持に努める株式会社源。陣頭指揮する藤ア尚志社長から現場のスタッフまで『プロ』のこだわりを持っている。「アメリカ産の卵巣で100点とるのはむつかしい。でも80点で安定した品質をキープする自信はあります」(藤ア社長)

 
誘電フリーザーの導入で冷凍力がぐっとアップ
 
誘電フリーザーの導入で冷凍力がぐっとアップ
サイズ別に包装された辛子明太子は、いったん冷凍されてから出荷される。ここで問題なのが、冷凍技術だ。
「どんなにおいしい明太子を生産しても、最後の仕上げを失敗したのでは台無し。その杞憂を、2005年3月に導入した誘電フリーザーが一気に解決してくれました」(藤ア尚志社長)
いったい、どんな機械なのか?
「ひと口にいえば、水分と旨み成分を同時に凍結する機械です。電磁波を当て、水を凍らせないようにマイナス50度まで下げた瞬間に電磁波を止め、瞬時に凍らせるんですよ。マイナス20度くらいだと外側から凍るのですが、マイナス50度は中から凍ります。違いは歴然。解凍したときにドリップが出にくい。つまり作りたてのフレッシュな状態で解凍できるというわけです」
電子レンジの冷凍バージョンだと思えばいいらしい。おいしさが保たれる、とは画期的な技術だ。これまでハムやパンメーカーなどでの設置はあったが、辛子明太子のメーカーとしてははじめての導入。「高額な機械ですが、よりよい商品づくりに必要なら設備投資も実行しなければなりません。でも正解でしたよ。誘電フリーザーの導入で、これまで以上に安定した品質を保てるようになりました」(藤ア社長)
いつでも作りたての新鮮な味わいが楽しめる源の辛子明太子。その背景にはこんな隠し技があったのだ。
品番、品名、内容量、規格、賞味期限、製造年月日。株式会社源から出荷されるダンボール箱には、これらすべての項目が記載されている。
「おいしさ、安心、安全は毎日、肝に銘じています。それこそがお客さまに信頼していただく基本ですから」藤ア尚志社長の挑戦は果てしなく続く。

 
幅広いラインナップ
 
幅広いラインナップ
『あなたの街の明太子屋さん』を標榜する株式会社源だけあって、ラインナップは幅広い。業務用2キロ詰め(無色・有色)、贈り物に最適な上特切(無色・有色)、家庭で食べるにはもってこいの無着色辛子明太子、料理に便利なバラコカップなどなど、ニーズに合わせてチョイスが可能だ。
「いずれも味と価格で満足いただいている商品ばかりです。明太子の賞味期限は、マイナス18度以下で冷凍した状態でしたら180日間、解凍した場合は10度以下で10日間はおいしく食べられますよ」(藤ア尚志社長)
おにぎりの具だけでなく、大根おろしを添えて焼酎の肴に、茹でたジャガイモと和えていただくサラダもいける。もちろん明太パスタはやみつきになること請け合いだ。辛子明太子は季節を問わずいつでも楽しめる保存食といっていい。

 
老化の防止にもオススメ
 
老化の防止にもオススメ
福岡県粕屋郡新宮町下府。福岡市の東部に位置する株式会社源は、総勢44人で日々「健康的で美味しい辛子明太子」を作り続けている。日産、1トンから1.5トン。90%の手作業と10%の機械化で安定した商品を全国に供給する。
「着色した辛子明太子を毒だと思いこんでいる消費者の方がいらっしゃいます。もちろん口に入るものなのでそんなことは絶対にありません。無着色か着色は好みの問題だけなんですよ」
色はさておき、健康志向の折も折、減塩タイプに人気が集まる傾向がある。
「薄味のほうがたくさん食べられますしね。当社の味は唐辛子の辛さより、日本酒の風味が活きているタイプでしょうか。冷凍状態で入手した品は、室温じゃなく、冷蔵庫内で解凍してから召し上がってください」
パックで購入して一度に食べきれないときは、一腹(はら)ずつ小分けし、ラップに包み、密閉容器に入れてから冷凍庫へ。
「辛子明太子はただおいしいだけでなく、たんぱく質を25%も含み、ビタミンA、B1、B2なども豊富。老化防止に有効な食品ですよ。辛みは食欲を刺激する作用がありますので、疲れているときにもいいでしょう」と栄養士も太鼓判を押す。
福岡空港の売店をのぞくと、明太子、明太子のオンパレードだ。ただいずれも驚くほどの高値が付いている。
「当社は街の明太子屋さん。適正価格で良質な品をと日夜心がけています」(藤ア尚志社長)
原料選びから出荷までスタッフ一同フル回転だ。
「海からの恩恵を自然のままでお客さまにお届けするのが私たちの理念なんです。お客さまの要求を満たすことが誇り。お客さまこそ私たちの源なんですよね」
こう言って株式会社源の藤ア尚志社長は、胸を張った。