生産者STORY

 
ウメタSTORY
 
地元の生産者が手塩にかけた南高梅を厳選
株式会社ウメタ 代表取締役社長 泰地祥夫さんに聞く
日本の梅の半数が和歌山産。その和歌山では、大粒の南高梅が主流です。ウメタの梅干は、地元の生産者が手塩にかけた南高梅を厳選。大粒で果肉たっぷり、皮が絹のように繊細で、お口のなかで梅の香りが広がります。
 
自然落下じゃないと完熟じゃない
 
自然落下じゃないと完熟じゃない
泰地社長のご手配で、紀州なかもと農園の中本憲明さんをお訪ねしました。とは言っても、ウメタ本社から歩いて5分ほどの場所。ウメタ業務部長の泰地伸明さんとは、小学校時代から顔見知りです。
お住まいの裏が梅の栽培地で、地面には青いネットが張ってありました。
「八百屋さんで売っている青梅は、青取りと言って、手でもぎますけれども、梅干用の梅は、完熟してないものだと皮がまだ厚かったりして、おいしい梅干にならないんです」と中本さん。
完熟した梅は柔らかいので痛みやすく、そのためのネットでした。まず、自然落下したときのショックをやわらげます。また、梅が直接地面に付くと痛みやすいので、地面から浮かせる役割もあります。最後に、張ったネットの低いところに梅の実が集まるので、収穫作業もだいぶ楽になります。ここ20年くらいで、この青いネットが普及しました。
自然落下したものを収穫して、水漬けして、洗浄機にかけ、大きさで選別して、塩漬け。梅雨明け後に漬け槽から出し、水洗いして、天日で干します。ここまでが生産農家の役割です。
この後、等級ごとに分け、加工工場に納めます。
ところで、初歩的な質問で申しわけないんですが、実を取る梅と梅見をする梅とは同じ梅なんでしょうか。
この質問には、泰地社長が答えてくださいました。
「花は、観賞用とまったく一緒。咲く時期も一緒で、このあたりでは2月です。梅の木が多いので、みなべに入ると、梅の香りがすると言われていますよ。ぜひ、その時期にいらしてください」

 
大粒の南高梅を厳選
 
大粒の南高梅を厳選
大規模な梅畑を案内していただきました。青いネットが張られているので、梅畑であることが遠くからでもわかります。このネットは、自然落下した梅の実が地面に付くのを防ぐために張られていて、収穫期が過ぎると畳まれるそうです。大変な手間ですね。
手間と言えば、梅干は完熟した梅でなければおいしくないので、自然落下したものを時間を置かず一個一個拾い集めるのだそうです。
いまでは日本の梅の半数が和歌山県で生産されていますが、そのうちの65パーセントが南高梅です。ウメタ本社のある日高郡みなべ町は、その南高梅の本場です。昨年は作柄が悪く収穫量も落ちましたが、平成15年からはむしろ年々収穫量が増えています。また、梅畑の面積も増えています。
「ちなみに、今年は気候もよく収穫量も期待できそうです。また、病気も少ないようで、原料としてはいいものが取れそうです。しかも、雨が多い。雨が少ないと、実が大きくならないと農家さん嘆くんですけれどもそれもない」と泰地社長。
「南部(みなべ)高校が普及した梅なので南高梅と言うんですか」と質問したところ、「それは半分だけしか合ってません」と泰地社長に笑われてしまいました。
明治の後半、高田梅という品種が生まれ、なかでも高田貞楠さんが育てる梅60本のうちの1本が特別に優れた梅でした。それを育て継いだものが南高梅ですが、その梅を選定した先生の勤務する県立南部高校の南と高田さんの高をとって「南高梅」と名付けたということでした。
南高梅は昭和29年に、高田貞楠、育成者である小山貞一、竹中勝太郎の名前で農林登録、出願され、全国ブランドへ一歩を踏み出しました。
現在では、ご存じのように、粒が大きく、皮が絹のようになめらかで、果肉が厚い極上品として、梅のトップブランドとして親しまれています。

 
台風が来ても、農家は収穫する
 
台風が来ても、農家は収穫する
取材の数日前に台風が来て、梅の実もだいぶ被害にあったようです。
「台風が来ましたけれども、その日ではなくて、翌日吹き返しっていうのが吹いて、かなり実が落ちたという記事が出てました。新聞には被害が12億だと書いてありましたね」とウメタ社長の泰地祥夫さん。
被害12億って、大変じゃないですか!
「12億が製品の出荷ベースでしたらたいしたことありませんけど、原料ベースだと結構なパーセンテージになりますね」
大丈夫なんでしょうか。
「2割落ちたという話しも聞いています。農協さん、着実の数を数えているんですよ。枝を決めて、何百本かの枝を読んでいるんです。玉数を読んでいるのは間違いないので、それは正しい数字です」
ますます心配になってきました。
「でも、落ちてもこの時期だし、今年は着実がいいですし、落ちたら落ちた分だけ実が太るということもありますから。4月の後半に読んだ数と、台風の後に数えた数で、2割違うということなんですね。だから、収穫量が100tだったのが80tになったということではありません」
ちょっと安心ですね。
「収穫ど真ん中だと、台風だろうと農家さんは避難しないです。とくにこのあたりは、台風に慣れていますし、被害もあまりない。だから、収穫に行きます。落ちて、2日で拾うのか、その日のうちに拾うのかで実の痛みは全然違いますから」
梅干1個といっても、仇やおろそかにはできませんね。

 
提案型の商品開発
 
提案型の商品開発
ウメタの創業は昭和17年。現社長のおじいさんが創業者です。
「うちのじいさんが始めたころは、上にきれいなの並べて下にいい加減なのを入れて、こういうの『あんこ』って言うんですけれども、そういうのが当たり前の時代だったんです。
そういう時代にじいさんは、松竹梅ってグレードを決めて、松の判子が押してあるものは絶対にいいものだとやった。私のじいさんながら、偉かったと思いますね」と現社長の泰地祥夫さん。
「その息子、私の父ですけど、いまの会長の時代になって、酸っぱいしょっぱいだけの梅干じゃ食ってくれない、当時食卓にあった調味料をかけたらうまいんじゃないかと、調味料の会社に相談したんです。そうしたら邪道だと言われた(笑)。でも、最終的に、つくったわけです」
この精神は現在でも受け継がれています。もちろん、オーソドックスな梅干に自信があるからできることでしょうけれども、「変わり梅干」をずいぶんつくっています。
「営業の人間は酸っぱい梅干をつくろうとするんですよ。梅干からクエン酸をなくしちゃったらよくないけれども、クエン酸を残してそのうえでいろいろなおいしさを展開して、提案する。自分が考えておいしいと思うものをつくって、それで、普及させていきたいですね」
このような考え方なので、一時マーケティングではやったマーケットインにも、泰地社長は批判的です。
「お客さまに意見を聞いて商品に取り入れるというんだけれども、あれ、僕は嘘だと思うね。そもそも梅干に、味をつけるのが邪道だったときに、お客さまに聞いたら、そういう意見出たかというと、出ないわけですよ。だから、いまやっているのは、自分で考えて、ひねり出して『どうでしょうか』というやり方ですね」
とは言え「もちろん、全部が全部、大ヒットというわけにはいかないです。それでも、おもしろがってやっています。ものつくるのは、つくれる。売るのは苦手ですけれどね(笑)」という泰地社長です。

 
新製品にかける思い
 
新製品にかける思い
新製品「スイートはちみつ」は、人気ナンバーワンということです。その開発秘話を聞いてみました。
「はちみつ入りというのも先行してありましたけれども、開発の人間が『うちは、酸っぱくないといけない』ということで、私が言っても甘くさせてくれなかった。塩分はあまり強くなく、クエン酸はたっぷり、旨味調味料はダメということではないけれども、さっぱりしているほうがいいということでつくった。これではちみつ入りは結構長くやっているんです」(泰地社長)
それはそれで人気商品なのですが、甘いものをつくりたいという泰地社長には不本意だったようです。
「前のを望む人もいるので、それは併売しています。新しいのはすーっと立ち上がって、すーっと落ちる味にしてくれと頼んだんです。食塩5パーセントで、はちみつたっぷりで、しつこく味が残らない。通販でもこっちのほうが反応がよかったんです。
一般に売っているはちみつ梅っていうのは、旨味調味料も入っていて、僕はそれが好きじゃない。旨いか甘いか、どちらかにしろよって思うんですね。両方だと、しつこく感じる。だから、旨味調味料は入れない」
「スイートはちみつ」は、熟成二段仕込みという製法です。
「塩分がある程度以上の液に漬けると、梅がしぼむんです。だから、1回目は少し薄めのものに漬けて、2度目はちょっと濃い目のものに漬ける。漬け込み液を徐々に濃くしていけばもっといいんですけれども、まあ、二段でやっている。
二段仕込みじゃなかったら、相当味が変わったと思いますよ。同業者のなかでも評判いいんです。特選マークつけてます。その認定審査委員会っていうのがありまして、僕も認定委員やってるんですけれども、そこでみんなで味見したら『これ、どうやってつくるんだ』って言われましたよ」