生産者STORY

 
清水食品株式会社STORY 商品開発編
 

日本の食卓に彩りを添える、スープという存在

本格的なポタージュスープのおいしさを、家庭で手軽に味わってほしい。そんな思いから誕生した清水食品株式会社のポタージュスープシリーズ。そのスープは、厳選された素材と「シェフの味」の追求、そして緻密につくられた製造行程のプログラムによって誕生した。
 
スープをただ「飲む」だけではなく
 
スープをただ「飲む」だけではなく
現在、ジェルメロードに「コーンのポタージュ」をはじめ、いくつものポタージュスープを提供してくださっている清水食品。彼らのスタートは昭和4年、日本初のマグロ油漬けの缶詰工場としてだった。それまでマグロを食べる習慣のなかったアメリカに、缶詰で輸出。アメリカでのマグロ油漬けの普及を成功させる。
「以来、長期保存できる加工食品というのがわが社の製品のベースにあります」と開発担当の鈴木衣織さんは語る。長らく缶詰加工が中心だったが、時代が変わるにつれ、缶詰よりも軽くて扱いやすく、ゴミ処理もしやすいレトルトパウチに移行していった。
そんな清水食品の製品のなかで、現在とりわけ販売数が伸びているのが、ジェルメロードでもおなじみのスープの数々。
「日本のスープ市場は年間1,100億円といわれていますが、その約7割がインスタントスープなんです」と鈴木さんは語る。そんななか、鈴木さんはおいしさや利便性、栄養なども考えて、『レトルトパウチの本格スープ』を販売しようと決意する。
「そもそもスープというものは、メイン料理にはならないのに、つくるのにすごく手間がかかる。だからなのか、本格的なスープは日本の食卓にはまだまだ浸透していないと思うんです。しかし、ていねいに作ったスープには野菜のうまみや栄養がぎゅっと詰まっている。ですから、料理のソースとして使えばメイン料理をぐっと豊かにしてくれます」

 
厳選された素材を使い、シェフのおいしさを目指す
 
厳選された素材を使い、シェフのおいしさを目指す
レトルトパウチのスープに可能性を感じた鈴木さんは、いまから6年前、それまで製造・販売していたスープのレシピを再度見直すことにした。それにともない、まず足を運んだのは高橋金男シェフの元だった。
「高橋シェフは、もう引退されていますが、わが社の近所にあった『駿河亭』のシェフをつとめていた方です。彼はフランスの有名店を3軒ほどわたり歩いた方なんですよ」
そんな高橋シェフの元に通い「スープとは何ぞや」を教えてもらったという。
高橋シェフにまず教わったのは、「スープのおいしさは素材にあり」ということだと、鈴木さんは語る。
「新鮮な素材をいかに調理するか、それがプロの技の基本です。素材はとにかく新鮮であれ。そして熟度が一番高いときに収穫した素材を使うべし。このふたつが最初の教えでした」
その教えを守り、彼らはそれまで使用していたペースト原料をやめ、じゃがいもやかぼちゃといった生の原材料から仕入れることにする。現在使用しているのは、品種と農場を指定し、厳選された最高の素材。コーンとじゃがいも、かぼちゃは北海道産、そしてえんどう豆は甘みの強いニュージーランドのものを使用することになった。
「高橋シェフの言葉どおり、収穫のタイミングも重要です」と鈴木さんは語る。
「じゃがいもやかぼちゃは、少し寝かせたほうがそれぞれの風味が出るんです。とくにかぼちゃは青臭さが消え、糖化が進み、甘くなる。ですが、糖化が進みすぎると、今度は色が悪くなってしまう。品種を選ぶだけでなく、収穫のタイミングもポイントなんです」
こうして集めた原料を持って、高橋シェフのもとでスープのつくり方を教わった。
「高橋シェフには、私たちのスープのゴールをつくっていただきました。研究所に戻ったあとも、いつもシェフの料理を思い出し、何が足りないのか、逆に何が過剰なのか、考えていましたね」
高橋シェフの元へ通い続けた日々は、いまも鈴木さんをはじめとする開発担当の方の自信につながっている。

 
微調整をくり返し、誕生した製造プログラム
 
微調整をくり返し、誕生した製造プログラム
高橋シェフの元で「おいしいスープとは何ぞや」ということを教わったら、今度は研究所に戻り、実際の工場で製造するためのプログラムを企画する。試作したスープは研究所に持ち帰り、パウチに入れて商品にするためのシミュレートをするのだ。
「スープの工場は福島にあるのですが、そこの工場ラインはすごいんですよ。鍋でシェフがつくっているレシピを、限りなく再現できる真空の釜があるんです」
そんな自慢のラインでスープを完成させるため、清水食品の研究所にあるシミュレーターという機械を使い、秒刻みで行程プランを組み立てる。しかし、シェフの味をシミュレーターで再現するのは、苦労が絶えなかったという。
「本来スープは鍋で1時間かけてじっくりつくるもの。ですがレトルトパウチにするには、120度という高温で短時間に殺菌しなくちゃいけない。そうすると、その殺菌する熱によって、完成していたスープのバランスが崩れてしまうんです。それによって高橋シェフには何度も不合格と言われました」
研究所でつくったスープを持って、高橋シェフの元に何十回も通い、微調整をくり返しながら、スープをつくり上げていった。
「調味のベース、乳製品との比率、おいしさの崩れない殺菌時間のギリギリ......そういったものを1年半かけて割り出し、やっと合格をいただきました」
そうして誕生した清水食品のポタージュスープは、これまでのインスタントが中心だった「家庭で食べられるスープ」の概念を根底からくつがえす、本格的な味に仕上がっている。コーンの甘さやじゃがいもの香り、かぼちゃのコクやえんどう豆のほのかな酸味など、それぞれの素材が持つ、個性的な風味が存分に感じられる。

 
スープがもっと身近になるように
 
スープがもっと身近になるように
「スープのおいしさをもっとご家庭で味わっていただくために、私どもではアレンジをご提案しています」
たとえば、コーンスープを「ブロッコリーのグラタン」のソース替わりに使用したり、じゃがいものスープやえんどう豆のスープは、パスタにからめてスープパスタにするのもおすすめだという。さらに、ホットケーキミックスとかぼちゃのスープを合わせた、パンプキンパンケーキは絶品。
素材を刻み、ていねいに炒め、ブイヨンなどと合わせ、裏ごしし、煮込む。ご家庭でつくると手間ひまのかかるポタージュスープが、お手軽に味わえる清水食品のポタージュスープ。ぜひ一度お試しください。