金鋒先生一代記

 
世界を歩いて研究を続ける1
 
世界を歩いて研究を続ける1
金先生は、研究室にこもっているばかりではありません。乳酸菌の採取に出かけたり、世界各地を歩いてきました。
「なぜ、この土地にご長寿の方が多いのか?」という問題に、「乳酸菌が由来しているのではないか」という仮説を立て、彼らの食事や腸内細菌を調べることもあります。
新疆ウイグル自治区のホータンというところに住んでいるご老人たちは、ほかの国に住む老人たちと違う腸内細菌を持っていました。
ふつう、ご長寿の老人の腸内には、ビフィズス菌が多く棲息していて、身体によい影響を及ぼしていると考えられていました。
しかし、ホータンに住む人々の腸内にはビフィズス菌がいませんでした。ビフィズス菌を持たなくても長生きできるということがわかったのです。
ここから導き出せるのは、ビフィズス菌は、「原因」ではなく、結果だったということです。ビフィズス菌が棲息しているから長生きできるのではなく、長生きできているからビフィズス菌が棲息しているということのようなのです。