金鋒先生一代記
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学問への道を選んだ金先生
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北京の高校に通いながら、やっと勉強をするようになった高校時代の金先生。しかし、スタートが遅かったこともあって、なかなか、ほかの学生に追いつくことができませんでした。
それでも何とか卒業試験にも合格し、高校を卒業できることになったとき、その後の進路にふたつの選択肢がありました。
ひとつは、軍隊に入ること。軍隊に入れば、住むところとご飯は約束されます。
もうひとつは田舎に行き、勉強を続けること。学問の道を選ぶことは、とても大変なことです。経済的な自立が難しいことは容易に想像できます。
そんなときに受けた兄からのアドバイスは「お前は田舎に行け。軍隊には入るな」というものでした。悩んだ結果、金先生が選んだのが学問への道、田舎に行くことでした。
「田舎に行って思ったことは、勉強しないと私の人生はないということでした」と金先生。
「働いていると身体が疲れ、そうすると頭を使いたくなる。働きながら、本を読んで、いろんな勉強をしていた田舎暮らしは捨てがたかったです。しかし人間は、身体が疲れるまで働くか、頭が疲れるまで勉強するかのどちらかです。私は、勉強することを選びました。つらいこともたくさんありましたが、勉強に打ち込んで、そうこうしているうちに、東京大学に留学するチャンスを手に入れたのです」と、お話ししていただきました。